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大買収時代の幕開け

 日本は、今、本格的な買収時代に突入しつつあります。わが国における買収の件数は、年を追う毎に増えつづけ、2004年は2,000件を超える規模になりました。わが国で買収などのM&Aが急激に増えてきた背景には、主に二つの理由があります。

  • M&Aに対する意識面の変化
  • M&Aを可能にする制度面の変化

 意識面の変化は、近年M&Aを実行した企業が徐々に効果を上げ始めていることと、件数が増えたことでM&Aがニュースなどで頻繁に取り上げられていることに起因するものと思われます。
 また、制度面でのもっとも大きな変化は、商法改正により現金でなく株式交換によって買収ができるようになったことです。2007年には、外資系企業による株式交換の解禁を控え、ますます買収の機会は増えることでしょう。

 買収が果たして良いか、悪いかは意見が分かれます。買収の成否は、結局、株主の価値が破壊されたのか、それとも増加したのかによって判断できますが、それがわかるのは、数年経ってからの話です。
 ただ、買収によって自治権を失うことによる経営者や従業員の心理的影響は、はかり知れないものです。その点を踏まえ、ここでは、買収防衛についての基本的な考え方を述べます。

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こんな会社が危ない

 実際には、今後、どのような会社が狙われやすくなるのでしょうか?
 買収者には、事業会社(ストラテジックバイヤー)とファンド等の投資会社(フィナンシャルバイヤー)の二種類がありますが、それぞれ買収ターゲットとする企業は異なります。

  • 事業会社の買収ターゲット企業は、事業において魅力ある企業です。
  • 投資会社の買収ターゲット企業は、企業の価値に対して、株価が割安な企業です。

これらの2つのタイプの買収ターゲット企業に対する“買収のねらい”は以下の通りです。

事業において魅力ある企業

 比較的規模が大きく評判の良い優良企業が該当します。これらの企業は時価総額だけ見ると、決して割安というわけではありません。しかし、買い手としては、「自分たちならその優れた経営資源をもっと有効活用して、キャッシュフローを生み出せる」と考え、高値で買収を仕掛けるのです。つまり、買収シナジーを見込むことで、買収による利益を享受できると考えているのです。
  • これらの企業の具体的な特徴は以下の通りです。
    国際的にも評価の高い優良企業(高い技術力、優秀な人材等)
    例:医薬品、自動車
    安定かつ広範な顧客基盤を有する企業
    例:食品、小売
    中国等アジアにおいて基盤を築いている企業
    オンリーワンの技術、又はニッチな市場において高いシェアをもっている企業
    ブランド力のある企業

株価が割安な企業

 株価に割安感のある企業とは、その保有する資産や事業の価値に比して割安に放置されている企業です。このような会社の買収は、持参金付き買収と呼ばれます。これらの企業を買収することで買収者は、あり余るキャッシュを持つ企業をタダ同然で手に入れ、かつその事業までも手に入れることができるわけです。最近の米国の投資ファンドによる買収劇などはこのパターンに当てはまります。
 このような企業は、創業者社長とその一族によって長い間、事業を営んできたケースが多いといえます。事業には精通しておられますが、財務政策が不十分なため、その結果、ある日突然、自社が買収ターゲットになったと知らされ驚くのです。
  • これらの企業の具体的な特徴は以下の通りです。
    市場からの評価の低さに常日頃悩んでいる企業
    例:高い技術力をもったメーカー系事業会社、セクター自体の評価が低い繊維、重工業、建設、卸・商社
    現金性資産を多く保有している企業
    キャッシュフローの安定している企業
    例:食品会社、インフラ会社
    規制産業に属している企業(バリューアップの余地が大きい)
    例:金融業、インフラ会社
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