

近年、TOB取引における開示資料の記載内容に、1つの特徴が見られるようになった。それは、公開買付者、対象会社ともに、他社事例におけるTOBプレミアム水準を参考に公開買付価格の妥当性を検証していると思われる案件の割合が増加してきたことである。例えば、公開買付届出書には「過去の発行者以外の者による株券等の公開買付けの実例において公開買付価格発表時点で想定されたプレミアムの実例も踏まえ」等の記載がしばしば見受けられる。
しかしながら、"いつ"の"どのような"事例(群)の統計的代表値を参照すべきかという点は、慎重に検討されるべき論点である。特に、リーマンショック を境にTOB取引を取り巻く経済環境は大きく変化しており、TOBプレミアムの水準にもその影響が大きく及んでいる可能性が高い。
そこで、本レポートでは、2007年から2010年4月までに公表されたTOB案件から観測されるTOBプレミアムについて調査・分析し、リーマンショックがTOBプレミアムに与えた影響について検証するとともに、TOBプレミアムの平均値等を参照する上での留意点についても補足する。
近年、上場企業に対する株式公開買付(TOB)が増加してきており、これに伴い「公開買付価格(TOB価格)の市場株価に対する上乗せ幅、いわゆる"TOBプレミアム"が上昇基調にある」というような趣旨の報道を目にしたり、耳にすることも多い。これらの各種報道等を見て「TOBプレミアムが右肩上がりに上昇している」というイメージを持っている方が多いのではなかろうか。
しかしながら、実際に、さまざまな案件に直接・間接的に関わることも少なくない実務家の視点からは、TOBプレミアムは必ずしも右肩上がりの上昇基調ではなく、むしろ、個別案件ごとの特性がTOBプレミアムに色濃く反映されるようになったと感じている。また、買付けに必要となる金額(買収総額)が増加すると、金融機関からの借入が必要となることも多く、買収総額の大小においてもTOBプレミアムは影響を受けることが多い。
そこで、本コラムでは、TOB案件の時系列的な変化だけでなく、その買収総額にも着目しながら、TOBプレミアムが本当に右肩上がりの上昇基調にあるのかを検証する。
三角合併。
最近、新聞等のメディアでよく耳にするが、どこか違和感を覚えないだろうか?それは無理もない。三角合併は、英語のTriangle merger を直訳したものだからである。
その三角合併が2007年5月に解禁される。英語の直訳である三角合併の解禁に対し、経団連などの経済界が日本企業の買収を迫る黒船ではないかと、神経質になっている。
本コラムにおいては、この三角合併について解説する。