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よくあるM&Aの疑問

Q1.M&Aの2/3が失敗に終わっていると聞くが、成功の秘訣があるのか

A1.M&Aは、企業のビジョンと現状のギャップを短期間で埋めるための“最強の戦略オプション”の一つですが、その多くが失敗に終わっています。成功の「秘訣」というようなものはありませんが、陥りがちな失敗の事例とその原因を知ること(下記参照)や、 経験豊かなM&Aプロフェッショナルのサポートを受けることなどが、成功への近道となります。

M&Aの失敗例①

目的の喪失

M&Aは、そもそも戦略やビジョンを実現するための“手段”に過ぎません。それにも関わらず、ディールの成立が“目的”化してしまいます。これにより、買収価格が高騰したり、買い手にとって不利な条件を呑んでしまったりといったことが発生します。目的を見失う理由は、以下のようなものが挙げられます。

  • 目的があいまい
    (短期間で交渉をまとめなければならず、M&Aの目的が明確にされていないままディールが進んでしまう)
  • 目的の取り違え
    (目的共有化の欠如やM&Aの知識不足によって、M&Aのゴール=ディールの成立と考えてしまう)
  • 途中で止められない心情
    (走り出したプロジェクトを途中で止めることは、心理的に受け入れがたい)

M&Aの失敗例②

シナジー効果の甘い見積

売り手やアドバイザーなどの影響や投資判断の時間的な制約により、シナジーを過剰に見積もってしまうケースが数多く見られます。このため、投資判断時には、シナジー効果が得られるか否かの正確な見極めが必要です。

リスクの把握が不十分

時間的な制約が強いM&Aの特徴として、買収対象に内在するリスクを見落とす可能性があります。このため、買収後にリスクが顕在化し、結果的に高い買いものをする羽目になります。買収に伴うリスクには以下のようなものがあります。

交渉力不足

M&Aは一般的に、売り手有利に交渉が進められます。この理由として、需給要因と構造的要因の2つが挙げられます。

需給要因
買い手が多数存在する
(複数の買い手に声をかけ、最も売却条件のよいところを選ぶことが出来る)
案件の希少性が高い
(案件自体が少ない場合、チャンスを逃してはいけないと考えてしまう)
構造的要因
情報格差が存在する
(売り手が売却対象に関して詳細に把握しているのに対して、買い手は圧倒的に情報量が少ない)
十分な交渉準備が出来ない
(売り手は自分たちに有利なスケジュール、条件によってディールを進めるため、買い手は十分な準備期間を確保できない)

M&Aの失敗例③

統合スキームの選択

M&A実行までを無事に終えたとしても、統合スキームによっては、企業価値の大きく毀損する可能性があります。

組織統合
統合する⇒価値観が衝突する
統合しない⇒ガバナンスが機能しない
力関係
対等⇒縄張り争いが起こる
上下⇒被買収者のモチベーションが低下してしまう

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Q2.買収価格をどのように設定したらよいか

A2.買収価値の構造を理解し、M&Aの効果が最大化するように買収価格を設定する必要があります。買収価格設定の具体的なポイントは以下のとおりです。

買収価格は買収によって得られる価値を超えてはならない

M&Aの利益は、買収価値(買収によって得られる価値)から買収価格を差し引いたものです。買収価格が買収価値を超えるとM&Aの利益はマイナスになり、M&Aで損をすることになるのです。M&Aの利益の算定式は以下のとおりです。

M&Aの利益 = 買収価値 - 買収価格
買収価値は現状価値とシナジー効果によって決まる

買収価値は、買収対象の現状価値(本質価値)に、買収によるシナジー効果(M&A後の価値創造)を加算したものです。バリュエーションによって、現状価値、買収によるシナジー効果を大胆かつ精緻に算定することが、M&Aの効果を最大化する鍵です。 買収価値の算定式は以下のとおりです。

買収価値 = 現状価値 + 買収によるシナジー効果

※買収によるシナジー効果 = 財務・税務戦略 + 事業の統廃合 - 成長のための梃入れ投資 + 業務効率化 + 成長戦略 + Exit(売却)戦略

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Q3.事業整理によって、収益力を高めたい

A3.高収益企業を目指すには、不採算事業の整理を実施しなければならず、大きな痛みを伴います。このため、利害関係者にとって納得性が高く、合意が得られるような手法で、事業の整理を進めていかなければなりません。具体的な事業の整理は、以下の3つのステップを踏んで実施します。

ステップ1:評価基準を考える

整理対象事業を評価するための基準を設定します。主な評価基準は、以下のとおりです。

  • コア、ノンコア
    (ビジョン・企業戦略との整合性がとれているか)
  • 収益性
    (ROA、ROIC、EVA、営業損益など社内の事業収益性基準を満たしているか)
  • 実行可能性
    (ステークスホルダーの合意を得られるか、法的に問題がないか等)
ステップ2:評価する

ステップ1にて確定した評価基準にしたがって、整理対象事業を評価します。評価を進める際のポイントは以下のとおりです。

  • 評価の定量化
    (評価の公正性を確保するため、前提を明確にして出来る限り定量化する)
  • “しがらみ”や“聖域”の排除
    (客観的な評価を実施する)
ステップ3:実行する

整理対象事業が確定したら、事業の清算か、売却かを選択し、実行に移します。一般的に売却価値の方が清算価値よりも高いことが多いため、売却候補が存在するならば、売却を検討するべきです。また、売却の場合は、買い手が事業を継続することにより、従業員や取引先への影響を極力抑えられます。